石橋 伯子
−より自然なお産を目指して、私の出産体験
自然なお産をするために、たくさんの方法が紹介されています。その中で、一番分かりやすく、大きな陣痛を乗り切ることが出来、お産をより早めることに有効な方法は、リラックス法と呼吸法と言われています。
これらの技術はヨガクラスで学びます。 ただ、ヨガクラスを受講して、その技術を身に付けたとしても、出産当日にそれらを自分の力だけでするのは難しい事です。
日本ではほとんどの産院で看護師が産婦に出産介助をします。そのため、日本のお産の本には具体的な分娩方法が書かれているのはありませんね。 こちら(カナダ)でのお産は、自分達(産婦、ご主人)だけでするのが基本なので、分娩専門書がたくさん売られています。 ただそれらを熟読したとしても、本番の痛さで読んだ内容を忘れ、多くの方が無痛分娩に至ります。
私がヨーガを教えてた最初の頃、生徒さんたちが次々と無痛分娩で出産し、がっかりしたのを覚えています。 でもそれは仕方の無い事でもありました。 私が当日手伝ってあげれたらと、悔しい思いをしました。 それが私がドューラになったきっかけです。
私は3人の子供の内、上の子2人が帝王切開による出産でした。
いちばん最初の子供の時は、自分は痛みに耐えられると信じ出産に望みましたが、気合だけではだめでした。 痛みのコントロールが上手できず、看護師・医者の言われるがままに硬膜外麻酔(エピドーラル)、陣痛促進剤、帝王切開となりました。
2人目の子供は、一人目で経験しなかった子宮口に感じるプッシュまで進んだものの、リラックスが上手出来ず子宮口が9cmまで開きましたが、子供の心拍が下がり ここまでせっかく頑張ったのに, またまた帝王切開でした。 悔しかったです。
3人目の時は、全ての知識と技術(呼吸法、リラックス法等)で出産にのぞみ、会陰切開でカンシは使ったものの、希望の分娩が出来ました。 つまり出産は自分次第で、自然分娩にも帝王切開にもなるという事なのです。 私は3人目にしてやっと人並みに産めた訳です。
もちろん、初産で努力せずに産める方も沢山います。 いわゆる、安産タイプの女性です。 安産の定義は人それぞれですが、ここでの安産を「陣痛は穏やかで、スピード出産」としましょう。 その安産のほとんどは、母親から受け継がれた特別な贈り物で、体系とは関係ありません。 安産タイプの方に多いのは、子宮口(子宮頸部)が出産時までに他の方よりも早く薄くなることや、骨盤の中が広く赤ちゃんが回転しやすく そのおかげで出やすいようです。
このような安産タイプでなかったとしても、努力して安産に近づける方法がありますので、どうか心配しないでください。 私はこの方法を行って、3人目を産む直前でなんとか人並みにこぎつけました。 かなり努力したと思います。
−カナダでのお産の現状
カナダの産科看護師は入院するなりモニター(赤ちゃんの心音、血圧、陣痛の度合いを診るもの)を取り付けそれをチェックするくらいで、ほとんど何もしてくれないことを皆さんもご存知かと思います。 私の場合は、プッシュ(いきみ)の時が来たら看護師は「プッシュして!」とだけ言い、どんなのがプッシュなのか、またタイミングも一切教えてくれませんでした。 彼らにとってお産は普通行事であり、特別でもなんでもない 誰でもが同じ知識をもっていると仮定し お産の支持をしている傾向があります。 まるで流れ作業のようです。
その点主人は始終付きそってくれましたので、メンタル面の支えになってくれました。 陣痛に耐えられたのは主人がいつも横に居て手を握ってくれたからでしたが、出産の介助者にはなれませんでした。 「腰が痛い」と言って、主人にさすってもらっても、こすりすぎてそれが後からヒリヒリ痛かったでした。 暖めて痛みを緩和させるためにシャワーを使った時も、痛い所(腰)ばかりにシャワーを当てていたので、皮膚が真っ赤になり軽いやけどを起こしました。 私が痛みを感じる所を主人は私のことを思い 集中してさすったり、シャワーを当てたりしていたわけです。
ここでも看護師からの助言は一切ありませんでした。 夫婦で力を合わせて頑張っているのですが、どうも上手はいってませんでした。 でもこれが、主人にできた精一杯の手助けでした。
看護師は産婦が数回の大きな痛みを感じるのを見て、「何か別なものがほしい?」と上手に聞いてきます。 まるで何か飲み物がほしいか聞いてくるかのように、ごく当たり前に無痛分娩を誘惑するのです。 出産を経験したことのない男性にとって、陣痛の痛みがどれくらいか想像がつきませんので、そこで妊婦が「痛〜い!」と叫ぶと、ご主人はこの状況で”無痛分娩がベスト”なのだと、思うわけです。
私の夫は、私が痛みと戦いエビのように反りながら泣いているのを見て, 無痛分娩しかないと思ったそうです。 私もそう思いました。 でも無痛分娩にしてしまうと陣痛が大きさが小さくなったり、数が少なくなってしまうせいで促進剤を入れることになります。 そのせいもあり、また横になっていることもあり、帝王切開になる確立があがりますから、それだけは避けたいですね。
−無痛分娩にしなくても、陣痛を乗り切る方法はたくさんあります!
陣痛が始まり出産にたどり着くまでの間をどのように過ごすかによって、痛みの度合いは変化します。バースボール、骨盤斜頚の動き、呼吸法、リラックス法、ダンス、マッサージ、音楽鑑賞、アロマセラピー、ホットパット、シャワー、バスタブにつかる、トイレに行くことなども痛みを乗り切るために有効です。 これらをタイミングよく組み合わせることによって、誰でもが痛みと上手に過ごせます。 このような、陣痛の乗り切る手段を、病院に入院する時点からずっと側にいながら指導するのがドューラの仕事です。
さらに、ドューラの技術によって陣痛促進剤を使わずに子宮口をある程度まで開けることもできます。
もし、陣痛促進剤をどうしても使わなくてはならなくなった場合でも、少量の薬で効果が現れることも多々あります。 ドューラがお産に立ち会うと、産婦さんのアドレナリンが多く分泌され、難産が減少するという事実も確認されています。
また、赤ちゃんの頭の位置を定位置(顔が下向き)にしてあげることもできます。定位置にいないと陣痛中に多くの女性が腰の痛みを訴えます。 下腹部だけの痛みでしたらなんとか痛みに乗り切れますが、腰痛が伴うと何十倍と痛みが増します。 カナダでは、この時点で無痛を選択する例も多々あります。 また赤ちゃんが上手に回転しないと、出産に時間もかかりますし、最終的に帝王切開ということにもなりかねません。
リラックスもとても大切な技法です。 5時間で子宮口が1cmしか開かなかったのでこれ以上長くなるのは無理だと判断し、痛み止めを打ちます。 その途端に体がリラックスし1時間に2、3cm開いたりする例もよくあります。 薬を使わずに弛緩法で子宮口を広げ、少しでも早く出産が終わるといいですね。
ドューラはその方の痛みの場所に合った方法を組み合わせ、自然なお産を導きます。
産婦の体は、その女性の出生時の環境、その後の生活環境、年齢、体つき、精神面などで一人一人違います。ですが、そのうちの98%の産婦は自然分娩が身体的に可能と言われています。 ところが、2004年のBC Women's Hospitalの統計によると、25%以上、つまり4人に1人の割合で帝王切開での出産をしたそうです。これが西洋医療に出産を任せた現状です。 この数字は無痛分娩を試みた方の、なんと半分だそうです。
但し、赤ちゃんがお母さんの骨盤に対して大きい場合は、通常の陣痛ではなかなか下って来れないため、出産が通常より緩やかに進みます。
赤ちゃんが、前を向いている場合も同じです。
そんな場合、妊婦さんがいくら辛抱強く陣痛と向き合っていたとしても、なかなか思うように子宮口は、開きません。
そのような場合、下半身のみに麻酔をし、陣痛促進剤を投与しながら様子を見ます。 このような状況下ですと、痛みが全く感じていないせいで 子宮口が10cm開いても上手にいきめないことも多々ありますので、そのような事情になる事も考慮し、上手に息めるようピンポイントで指導いたします。
自分の力で出せない場合、他の方法(バキュームやカンシ)で赤ちゃんを出す事になります。 医療側の立場とは別な見解で、お母さんや赤ちゃんにベストな方法をお伝えできる場合もあります。 それは、医師によって(経験やその他の理由)判断が違うからです。 そのような状況に立った場合、私は、ドューラの立場で、他にどのような選択肢があるのか、患者さんにお伝えいたします。
ホームバース
二人目以降にホームバースを選択する方もいれば、カナダの保険保持者でない方は、医療費の節約のため一人目の出産にホームバースを選ぶ方がいらっしゃいます。
痛み止めや陣痛促進剤が使えないホームバースは、出産に時間がかかる場合もあります。 たとえそうなったとしても、うまく進めるようサポートいたします。 いつもの生活環境で、家族と一緒に最高の思い出を作りましょう!
但し、胎児・母子の安全が優先されますことご了承ください。 その場合、救急車でBC Women's Hospitalへ搬送され、病院でモニターをつけ出産になります。
ホームバースサービス料:$1500
ドューラは、産婦さんが希望する出産になるようお手伝いいたします。 自然分娩を選んだならば上手に痛みと向き合え、最終的に無痛分娩になったとしても、納得のいくあなたらしいお産が出来るようサポートいたします。